泣き虫。

今にも泣き出しそうだよと、
雲たちが集まってきたんだ。

心配ご無用!
きれいな青色を描いていたのに、
なぜ、ぼくを隠そうとするんだい?

勘違い屋の雲に、そう言い返してやったのさ。

だけど。

シアワセそうな親子が、ぼくの下を通った瞬間、
ぼくは、わーって泣き出してしまったんだ。

何でもない光景なのに、何でこんなに涙が出るんだろう?

ぼくは、こんなに不安だったんだね。
ぼくは、こんなに悲しかったんだね。
ずっと、へっちゃらなふりをしていただけなんだね。

「よく降るね」って、
きみがうんざりした顔をしたけど、

ごめんね。
もう、涙が止まらないんだ。

センチメンタルな気持ち。

最近、きみは忙しそうで、
あんまり、ぼくの方を見てくれないね。

ぼくは、すっかり暇を持てあまして、
大きな雲を少しずつちぎって、
小さな雲をいっぱいいっぱい作ったんだ。
これ以上作れないやってくらいいっぱいになったから、
ぱーっと散りばめてみたら、
みんながぼくを見て「秋だなあ」って言ったんだ。

そっか。

このセンチメンタルな気持ちは、
きみが振り向いてくれないからじゃなくて、
秋だからだったんだね。

早起きのごほうび。

くしゃくしゃって集めた雲を
ぴゅーって吹いたんだ。
そしたら細い筋がいっぱいできたんだ。
えっへん。すごいだろ?

人は絵に描いたようだって言うけど、
それじゃあ、
ぼくより絵の方がスゴイみたいじゃないか。

でも、
胸の中のもやもやがずっと消えなくて、
早起きしてしまったきみが、
喜んでくれたから、
ぼくはうれしいよ。